西国第十六番札所　音羽山　清水寺 （おとわさん　きよみずでら） 　　　　　　　　　本　 尊 ： 十一面千手千眼観世音菩薩 　　　　　　　　　真　 言 ： おん　ばざら　たらま　きりく 　　　　　　　　　秘　 仏 ： 33年ごとに開扉(次は2033年） 　　　　　　　　　開 　基 ： 延鎮上人(えんちんしょうにん） 　　　　　　　　　開　 創 ： ７７８（宝亀９）年 　　　　　　　　　宗　 派 ： 北法相宗（大本山） 　　　　　　　　　御詠歌 ： 「松風や　音羽の滝の　清水を　むすぶ心は　涼しかるらん」

御朱印　　　カラー御影 .	「　仁王門　」 別名赤門、　京都で最大級の「仁王像」 .	「　鐘楼　」　　 .	「　三重塔　」　日本最大級 　 .

「　轟門　」（とどろきもん）　　（普門閣） .	「　本堂　」　清水の舞台は、御本尊の観音さまに芸能を奉納する場所 .	「　地主神社　」　清水寺の鎮守社で徳川家光が再建 .	「　音羽の瀧　」　古来より「黄金水」「延命水」とされる .

■　略縁起・歴史・由来

　清水寺の始まりを記した書物『続群書類従』によると
　奈良の観音様ご本尊の子島寺で山岳修行を積んだ僧、賢心（けんしん）　「延鎮上人」　の夢に白衣の老翁があらわれ「北へ清泉を求めて行け」とお告げをしたことが清水寺の始まりです。
　賢心は霊夢に従って北へと歩き、やがて京都の音羽山で清らかな水が湧出する瀧を見つけます。
　そして、この瀧のほとりで草庵をむすび修行をする老仙人、行叡居士（ぎょうえいこじ）と出会ったのです。
　行叡居士は延鎮上人に観音力を込めたという霊木を授け「あなたが来るのを待ち続けていた。どうかこの霊木で千手観音像を彫刻し、この観音霊地を守ってくれ」と言い残して姿を消したといいます。
　延鎮上人は「行叡居士は観音の化身だ」と悟り、以後、音羽山の草庵と観音霊地を守りました。延鎮上人が見つけた清泉は、その後「音羽の瀧」と呼ばれ、現在も清らかな水が湧き続けています。

　延鎮は、妻の安産の妙薬とする為の鹿を狩りに来た坂上田村麻呂公（さかのうえたむらまろ）に出会うが、その時延鎮上人は彼に無益な殺生を戒めた。これを契機として坂上田村麻呂は延鎮に帰依し観音信者となった。
　安産の観音さまとして大変よく知られていて、三年坂は産寧坂であるとも言われています。
　お産が水から始まるということで　「清水」　という名前がついたといわれています。
　延暦24年(805年)に勅により坂上田村麻呂は寺地を賜り、私費で仏殿を建立し、寺域を整えたとされている。弘仁元年(810年)には嵯峨天皇の勅願を得て、国家鎮護の道場になったといわれている。
　清水寺は南都の興福寺法相宗に属していたため、比叡山との対立による戦火や火災、落雷により幾度も焼失。１６３３年（寛永１０）本堂・奥の院その他の諸堂が徳川家光により再建され現在の規模になる。



■　見所・境内
　　　●仁王門　（赤門）
　　　　　縦額は、三蹟の一人　「藤原行成（ふじわらのゆきなり）」　の書と言われている。京都で最大級の「仁王像」で、 狛犬は珍しく両方「阿」の口です。
　　　●鐘楼
　　　　　平成１１年の彩色復元により、桃山様式の華やかな彩どりが蘇えりました。
　　　　　牡丹の懸魚（けぎょ）や菊花の蟇股（かえるまた）、獏と象の木鼻など　必見です。 　　　●三重塔
　　　　　昭和の解体修理を経て、総丹塗りと共に極彩色文様が再現されています。
　　　●轟門　（中門）　「普門閣」
　　　　　手水で清め、門に至る水のない橋（轟橋）を渡れば、そこからは聖域となります。　三間一戸の八脚門は重要文化財です。
　　　●清水寺本堂
　　　　　「清水の舞台から飛び降りたつもりで・・」の語源となった清水の舞台は、樹齢４００年、１２ｍのケヤキの柱を並べた　「懸造り（かけづくり）」　で釘を一本も使用していません。
　　　　　本堂から張り出した「舞台」の高さは約１３メートル。これは４階建てのビルに相当します。舞台を支えているのは、床下に建てられた１８本もの柱です。
　　　　　御本尊は秘仏で、３３年に一度の御開帳ですが、礼堂（らいどう）には御姿を映した　「御正体（みしょうたい）」が掲げられています。
　　　　　御本尊を見守る　「二十八部衆」　は、観音さまに従い、そして千手観音を信仰する者をお守りくださる神々です。
　　　●本尊御前立　十一面千手千限観世音菩薩
　　　　　左右の腕を高く掲げ、化仏をいただく独特のお姿で　「清水型観音」　と呼ばれています。
　　　　　このお姿は、現世利益を恵まれる千手観音さまに、更なる格別な　「観音力」を表現したものとされ、大きな力をお持ちであることを示します。
　　　●音羽の瀧
　　　　　こんこんと流れ出る清水は古来「金色水」「延命水」と呼ばれ、清めの水として尊ばれてきました。３筋に分かれて落ちる清水を柄杓に汲み、六根清浄、所願成就を祈願します。
　　　　　なぜ３筋なのかは不明ですが、仏法僧、三宝への帰依。　欲怒愚痴、三悪の浄化。　この水をいただく人の信心と願いととらえられます。
　　　　　瀧の下にある石は、「水垢離行」（みずごりぎょう）　の足場。
　　　　　この水は、京都盆地の奥深くろ過された水が気圧によりサイホンのように湧きあがったもので、長い年月をかけて岩に磨かれた正に聖水と呼ぶに相応しい水です。



■　観音さまの持つ観音力とは？
　　　観音の　「観」は　（わたし）、「音」は　（あなた）。主観（わたし）と客観（あなた）との心が一体になって「観音」になる。
　　　両手を叩いて右の音か左の音か・・・両方が相まって音が出る、主観と客観が一体になる・・・そこに観音様の甚深、大慈大悲心が湧いてくる。それが観音様の力、観音力ということになります。

■　観世音とは「心で自由自在に世の中の音を観る仏」といわれ、その観音さまの心とは、次の五観です。
　　１、　　真実を求め真理を愛する心、真観。
　　２、　　清く澄んだ、私利私欲に走らず、利他を重んずる心、清浄観。
　　３、　　あらゆるものを平等に観ずる心、広大智慧観。
　　４、　　他の苦しみを自らの苦しみとして共感できる心、悲観。
　　５、　　他の楽しみ、喜びを共に観じられる心、慈観。
　「観」とはわたしたちの主観、心のことであり、「音」とはわたしたち以外の周りのことで、観音さまの心である五観をもって、「音」を観じることにより、様々な困難や苦しみを克服しようとする。
　言い換えると、観音さまのお心、お姿とは、わたしたちの理想とするべき心の有様を、体現していただいているのです。
　観音さまは、そのお姿を三十三身に変え、一切衆生を救済されようとしています。
　普段お参りしている観音さまのお姿だけが、観音さまだとは限らないのです。例えば、町内を走り回っている小さな子どもたちも、観音さまが正しい道を伝えようと姿を変えて出現されているのかもしれません。
　すなわち、観音さまとは遥か遠くにあるのではなく、「音」であるわたしたちの日常の中におられるのです。
　その観音さまに出会うには、普段の生活の中でなるべく沢山の有難さ、感謝を見つけようと、五観をもって勤めることです。そのためにわたしたちの心、「観」が、少しでも観音さまの五観に近づける精進が必要なのです。
　みなさんも、毎日の暮らしのなかで、どんなことでもいいから、「ありがたい」と思うことを見つけてください。それが、観音さまのお心に近づく道、幸せへと続く道なのです。

■　巡礼者 　　　室町時代から聖地巡礼が流行し、傘を被り、杖を持って、むしろを背負い、笈摺の色は、両親のある者は柿赤色、ない者は白色であったと伝えられる。清水寺参詣曼荼羅より。



■清水寺の七不思議　（１７カ所以上あると言われている）

　●首振り地蔵
　　　首が360度まわるお地蔵様。一回転させてからお願いすると願い事がかなうと言われ、最近は「自分が恋い慕う人がいる方向に首を振り向けて祈願すると、願いが叶う」恋愛成就のご利益もあるとされるお地蔵様。
　　　場所は清水寺仁王門より外にある善光寺に安置されている。
　●馬駐（うまとどめ）の金具
　　　馬つなぎの逆さ鐶といって、柱についている金具の向きが違って付けられている物が２か所ある。
　●仁王門前の狛犬
　　　どちらも「阿」「阿」と口を開けているわけです。実は、奈良東大寺の南大門北側の狛犬も「阿阿」型。「阿吽」でなければいけないという決まりはないんだそう。
　　　「阿」は宇宙や万物の始まり、「吽」は宇宙や万物の終わりという意味。五十音でも「あ」で始まり「ん」で終わりますね。これもその意味。「阿吽」で完結するわけです。
　　　すべての始まりを意味する「阿」の狛犬が二匹並んでいると、まるで「ここから何かが始まりますよ」という、壮大な入り口に思えてきますね。
　●仁王門の腰貫きの頭叩き
　　　くぼみのある腰貫きを指で叩くと斜め向かいの腰貫きに澄んだ音色が伝わる。精密に作られているということでしょうか。
　●鐘楼の柱
　　　なぜか６本。通常鐘楼の柱はどんなに大きな梵鐘を支えていても４本である。鐘楼としては珍しい建て方。しかも「四方転び」と言って、この柱は内側に向けて斜めに建てられている。これで大きな鐘をしっかり支えています。
　●景清爪彫りの観音
　　　随求堂手前にある石灯籠の火袋内に納めれた線彫りの小さな観音像は、源平合戦の折、平景清が清水寺に潜伏していた時に（獄に入れられている間という説もある）、爪で石の上に観音様を彫り奉納したと伝えれています。
　●三重塔の鬼瓦
　　　東南方向のみ鬼ではなく龍になっている。鬼瓦は厄払いの意味を持ちますが、龍は水神であることから火除けの意味。
　　　実は京の都全体をに目を向けると、京都で一番標高の高い西北の愛宕山には、火伏の神が鎮座。都を火災から守っていました。しかし正反対の東南には守り神がいません。
そこで最大級でもある三重塔の東南角に龍を配し、火除けとしたのです。
　●水のない轟橋
　　　轟橋は中央の板張りを舌、両端の石造部分を歯に見立てて、清水寺の「口」と言われ、かたわらの手水水で口をゆすぐと歯痛、頭痛が治ると伝えられています。また橋ではあるが水は流れていません。
　●手水鉢の脚
　　　手水鉢の堂を支える脚が二本しかありません。考えてみると不自然で不思議な話です。
　●梟の手水鉢
　　　手水鉢に注がれる水は龍の口から水が湧き出ています。なぜ龍なのに梟（ふくろう）かと言うと、この手水鉢を支える石の四隅に梟の彫像がついた台座になっているから。
　　　フクロウと言えば知恵の神様なので、下座に置くのは不思議だということになっています。
　●轟橋の門
　　　受付がある所ですが、門なのに扉が無く、また仁王門同様、磨り減った木口があります。
　●弁慶の足形石 　　　朝倉堂の前に置かれている一尺七寸（約50cm）もの大きな足形が付いた石。この足形は弁慶のものとも平景清（たいらのかげきよ）のものともいわれている。
　　　お釈迦様の両足をかたどったもので、いわゆる仏足石です。拝めばどんな大罪や穢れも消滅すると言われています。また、足腰に不自由のあるかたは、足形をなでた手で足腰の痛い箇所をさすります。
　●弁慶の指跡
　　　本堂裏側の貫の木の目に沿って付いている深さ２センチほどの溝。これは弁慶が指で付けたものとも、夜に願をかけに清水寺へ参拝した人たちが、暗い堂を歩くときに壁を辿った跡とも言われています。
　●清水の舞台
　　　なんといっても清水寺最大のミステリー。舞台を支える柱は４８本、釘は一切使わず組み立てられています。その昔はこの舞台から飛び降り命があれば願いが叶い、たとえ命を落としても極楽浄土に行けるといわれていました。
　●岸駒（がんく）の石灯
　　　江戸時代の絵師、岸駒による虎の彫り絵。どこから見ても睨みつけられたように虎と目が合う「八方睨みの虎」とされ、この虎には毎晩灯籠から抜け出して池の水を飲みに行くという言い伝えが残されています。



■ 心念　Youtubeチャンネル

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